JA共済連 平成22年度決算について

2011年7月27日

JA共済連(全国共済農業協同組合連合会・代表理事理事長 横井義則)では、平成23年7月27日(水)午前10時30分より、ANAインターコンチネンタルホテル東京(東京都港区)において通常総代会を開催し、平成22年度決算が承認されましたので、事業活動および決算の概要について以下のとおりお知らせいたします。

主要業績

1.新契約高について

生命共済(生命・医療系共済合計)の新契約高は、昨年度に引き続き「積立型終身共済」が好調だったこと、生存保障ニーズの高まりにより、新仕組みの医療共済が増加したこと等から、件数では226万1千件(前年比153.7%)となりましたが、保障共済金額では11兆5,870億円(同81.8%)となりました。
建物更生共済は、保障共済金額11兆665億円(前年比92.9%)となりました。
その結果、生命共済と建物更生共済の合計保障共済金額は22兆6,536億円(前年比86.9%)となりました。
なお、契約者から収納した共済掛金(元受共済掛金)は長期共済(新契約高)ベースで2兆7,475億円(前年比113.5%)と前年度水準を上回りました。
自動車共済は、契約件数839万3千件(前年比99.5%)、共済掛金(連合会の受入共済掛金)2,441億円(同99.9%)とほぼ前年度水準を確保しました。

2.保有契約高について

満期等契約の期間満了などから、生命共済・建物更生共済合計の保有契約高(保障共済金額)は、前年度末から9兆2,435億円減少して311兆780億円(前年比97.1%)となりました。
なお、解約・失効率は、生命共済3.69%(前年度3.63%)、建物更生共済4.20%(同4.12%)となりました。

3.共済金支払額について

3月末までに支払った共済金については、事故共済金が9,075億円(前年比100.5%)、満期共済金が2兆7,684億円(同97.4%)となりました。
その結果、総額で3兆6,760億円(同98.1%)を支払い、組合員・利用者の生活保障や災害復興の一助となりました。

平成22年度決算

1.決算の概要について

平成22年度決算においては、東日本大震災の発生に伴う共済金や損失等を早期に費用計上することとし、以下のとおり処理を行いました。

(1)東日本大震災に係る処理
ア.支払額の見積りとその対応
東日本大震災により発生する共済金については、その支払額を合理的に見積り、7,358億円を支払備金に計上しました。
これらの処理に際し、海外再保険会社などからの再保険金回収見込額2,545億円を充てたうえで、不足する金額については異常危険準備金の取崩しなどにより対応しました。

イ.特別損失の計上
東日本大震災による損失として、損害の生じた建物等の原状回復費用および JAグループ復興・再建義援金など、42億円を特別損失に計上しました。

(2)責任準備金の特別積立て
将来の予定利息不足額を軽減するため、生命総合共済において4,349億円の責任準備金の特別積立てを実施しました。

(3)契約者割戻し
生命総合共済および建物更生共済の平成23年度に割り戻す割戻金の割当額は、建物更生共済(むてき)が5年間の危険収支を反映させる制度であり、危険差割戻率を引き上げたことなどから、前年度より276億円増加し1,244億円となりました。

2.財務状況について

総資産は、前年度末より1兆6,342億円増加し、46兆2,975億円(前年比103.7%)となりました。そのうち、運用資産は、一時払契約の伸展に伴い運用資金が増加したことなどから、前年度末より1兆2,940億円増加し、44兆 113億円(同103.0%)となりました。
また、負債の部は、前年度末より1兆6,055億円増加し、44兆3,198億円(前年比103.8%)となりました。そのうち、責任準備金は、東日本大震災の発生などで異常危険準備金を取り崩したものの、一時払契約の伸展に伴い、共済掛金積立金が増加したことなどから、前年度末より6,688億円増加し、41兆5,195億円(同101.6%)となりました。
純資産の部は、前年度末より287億円増加し、1兆9,777億円(前年比101.5%)となりました。

3.収支状況について

経常収益は、受入共済掛金および再保険金の増加などにより、前年度より6,126億円増加し、7兆1,960億円(前年比109.3%)となりました。
経常費用は、支払備金繰入額の増加などにより、前年度より5,986億円増加し、6兆9,431億円(前年比109.4%)となりました。
この結果、経常利益は、前年度より139億円増加し、2,529億円(前年比105.9%)となりました。

4.主な経営指標について

(1)支払余力(ソルベンシー・マージン)比率
異常危険準備金の取崩し等により支払余力の総額が3.1%減少しました。
一方、リスクについては、責任準備金の特別積立てによる予定利率リスクの低下や建更の保有契約高の減少等による巨大災害リスクの低下等により、リスクの合計額が4.5%減少しました。
このため、支払余力比率は前年度より13.9ポイント増加し、966.6%となりました。

(2)実質純資産額
実質純資産額は、異常危険準備金の取崩しにより、みなし自己資本が減少したことから、前年度より1,272億円減少し、7兆5,059億円となりました。

平成22年度主要実施施策の概要

1.地域特性に応じた推進活動の強化と生活全般における保障拡充

多様なニーズに対し幅広く保障を提供し、地域特性に応じた推進活動を強化するため、新たな事業量目標設定・評価方式である推進ポイント方式を導入するとともに、 JAや地域の特性を活かしたエリア戦略を展開しました。
また、生活全般における保障拡充に向け、3Q訪問活動の定着を図るとともに、3Q訪問活動を通じた自動車、医療分野等の未保障・低保障の解消と保障切れ防止対策(満期到来契約の保障継続)の徹底に取り組みました。

2.ニーズを的確に捉えた簡潔でわかりやすい仕組みの提供

平成23年4月、貯蓄性を重視した学資金型こども共済「すてっぷ」を新設しました。また、建物・家財保障の拡充を目的とした建物更生共済の仕組改訂を行い、組合員・利用者ニーズを的確に捉えた簡潔でわかりやすい仕組みを提供しました。

3.組合員・利用者へのサービス等の向上

組合員・利用者へのサービス等の向上を図るため、引受処理日数目標の設定、審査査定システムの活用の徹底等により、引受審査・支払査定の迅速・適正化の取組みを強化しました。
また、JAの窓口対応力の強化に向け、共済掛金収納管理・継続契約管理のシステム化、ペーパーレス化等により、業務の効率化・迅速化に取り組みました。

4.組合員・利用者からの信頼性の向上

組合員・利用者からの一層の信頼性の向上を図るため、利用者保護の強化等を目的とした保険法の施行にあわせ、共済約款等の諸規程、普及推進資材、事務手続等について、法律要件に即した変更・見直しを行い、新たな契約ルールにもとづく事業活動を着実に実践しました。また、普及担当者(推進リーダー)を対象とした研修修了認定制度を導入し、79,111名の研修を終了しています。
JA共済の裁判外紛争解決(ADR)制度については、改正農協法施行日(平成22年10月1日)までに、法令に定める苦情処理措置および紛争解決措置を講じ、それに沿った苦情処理・紛争解決に取り組みました。

5.連合会のJA支援機能の強化

JAの共済部門職員の活動内容の向上と育成強化を図るため、共済事務インストラクターの活動用資材をJAに提供するとともに、自己学習の実行支援ツールである eラーニングの全国展開(567JA、14,387名受講)を行いました。
また、JA支援機能の強化に向け、新たにJAの窓口(スマイルサポーター)の推進実績を管理するとともに、共済事務パートナー向け研修会を開催しました。

6.地域貢献活動の促進

農村地域における「救急医療体制の確保」等の課題に対応するため、地域の交通事故対策活動(地域の安全・安心プロジェクト)に取り組みました。
また、JA・JA共済に対する理解の促進に向け、JAやJA共済の地域貢献活動について、各種メディアを通じ広報活動を展開しました。

7.連合会の健全性確保と安定的資金運用の取組み

将来導入が見通される「時価評価にもとづく監督基準」への対応およびJAにおける共済事業の強化等の観点から、平成23年3月の臨時総代会において会員JAに対して総額6,000億円規模の増資要請を行うことを決定しました。
資金運用については、長期安定収益基盤の維持・強化に向けた取組みを継続しつつ、収益性の向上に取り組み、正味運用益は7,912億円を確保しました。

8.さらなる事業基盤の維持・拡大に向けた新たな事業展開

JA・JA共済の情報提供機能の拡充に向け、「各種案内書にかかるご案内」をEメールで通知する「ご案内メールサービス」を平成23年度より開始することとしました。
また、食・農リスクの保障拡充を図るため、JAの直売所に対する保障として、平成22年10月より共栄火災の「直売所出荷者賠償責任保険」および「直売所店舗休業保険」を提供しました。

9.共栄火災の経営改善に向けた取組み

本会は、共栄火災に対して、保険本業での安定的な経営基盤の確立をめざした経営改善計画を策定し、同社の中期経営計画(共栄火災ISM・平成22~24年度)に反映させるとともに、経営改善計画の主要施策について進捗管理を行いました。

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