JA共済連 平成23年度決算について

2012年7月26日

JA共済連(全国共済農業協同組合連合会・代表理事理事長 横井義則)では、平成24年7月26日(木)午前10時30分より、ANAインターコンチネンタルホテル東京(東京都港区)において通常総代会を開催し、平成23年度決算が承認されましたので、事業活動および決算の概要について以下のとおりお知らせいたします。

主要業績

1.新契約高について

建物更生共済は、東日本大震災による建物保障ニーズの高まりに加え、「建物・家財保障確保にかかる特別対策」等の展開を通じて3Q訪問活動における保障点検活動を強化した結果、件数94万9千件(前年比126.6%)、保障共済金額15兆403億円(同135.9%)となり、前年度実績を大きく上回りました。

また、生命総合共済(生命・医療系・年金共済合計)は、件数222万6千件(前年比90.6%)、保障共済金額10兆431億円(同86.7%)となりました。

その結果、生命総合共済と建物更生共済の合計は、保障共済金額25兆835億円(同110.7%)となりました。

自動車共済は、件数844万2千件(前年比100.6%)、共済掛金(連合会の受入共済掛金)2,461億円(同100.8%)となり、前年度実績以上を確保しました。

2.保有契約高について

万一保障分野については、満期等契約の期間満了などから、生命総合共済・建物更生共済合計の保有契約高(保障共済金額)は、前年度末から7兆3,572億円減少して303兆7,208億円(前年比97.6%)となりました。

一方、生存保障分野については、ニーズに対応した結果、生命総合共済の保有契約高(満期共済金額)は31兆4,962億円(前年比105.1%)、医療系共済の入院共済金額(入院日額)は194億円(同133.3%)となりました。

なお、解約・失効率は、生命共済3.47%(前年度3.69%)、建物更生共済5.19%(同4.20%)となりました。

3.共済金支払実績について

3月末までに支払った共済金については、事故共済金が1兆8,746億円(前年比206.6%)、満期共済金が2兆4,615億円(同88.9%)となりました。

その結果、総額で4兆3,361億円(前年比118.0%)を支払い、組合員・利用者の生活保障や災害復興の一助となりました。

平成23年度決算

1.決算の概要について

平成23年度決算においては、以下のとおり処理を行いました。

(1)建物更生共済における東日本大震災の決算処理

東日本大震災の発生により建物更生共済の支払共済金が増加しましたが、前年度に6,522億円を支払備金に計上していることなどにより、当年度収支に大きな影響を与えることなく処理することができました。

(2)リスク担保力の強化

将来の巨大災害時の共済金支払に備え、前年度に取り崩した建物更生共済の異常危険準備金の早期復元を図るため、1,416億円の新規積立てを行いました。

また、価格変動準備金は、価格変動リスクへの対応の必要性が増していることから、リスク担保力を強化するため、1,030億円の新規積立てを行いました。

(3)法人税率引下げに伴う対応

将来の法人税率の引下げに伴う税効果会計処理により、繰延税金資産の大幅な取崩しを行ったため、1,154億円の法人税等調整額が発生しましたが、共済契約特別積立金を取り崩すことにより、剰余金処分には影響を与えない処理を行いました。

(4)会員JAからの増資

会員JAに対して6,000億円の増資を要請し、平成23年度末までに5,631億円の出資金を受け入れました。その結果、出資金の総額は6,918億円となりました。

2.財務状況について

総資産は、前年度末より1兆3,356億円増加し、47兆6,332億円(前年比102.9%)となりました。そのうち、運用資産は、増資および一時払契約の伸展に伴い運用資金が増加したことなどから、前年度末より1兆7,308億円増加し、45兆 7,421億円(同103.9%)となりました。

また、負債の部は、前年度末より8,207億円増加し、45兆1,405億円(前年比101.9%)となりました。そのうち、責任準備金は、一時払契約の伸展に伴い共済掛金積立金が増加したことなどから、前年度末より1兆4,918億円増加し、43兆113億円(同103.6%)となりました。

純資産の部は、589JAから5,631億円の増資による出資金を受け入れたことなどから、前年度末より5,149億円増加し、2兆4,926億円(前年比126.0%)となりました。

3.収支状況について

経常収益は、東日本大震災にかかる支払備金を戻し入れたことなどにより、前年度より5,050億円増加し、7兆7,010億円(前年比107.0%)となりました。

経常費用は、建物更生共済の事故共済金の増加およびリスク担保力の強化等のための責任準備金繰入額等の増加などにより、前年度より6,669億円増加し、7兆6,100億円(前年比109.6%)となりました。

この結果、経常利益は、前年度より1,619億円減少し、909億円(前年比36.0%)となりました。

4.主な経営指標について

(1)支払余力(ソルベンシー・マージン)比率

増資による純資産の部の増加等により支払余力の総額が9.2%増加したことなどから、支払余力比率は前年度より71.0ポイント増加し、633.4%となりました。

注記 支払余力比率は平成23年度決算から新しい基準により算出しています。

(2)実質純資産額

実質純資産額は、増資による純資産の部の増加および有価証券の評価差額の増加などから、前年度より1兆6,860億円増加し、9兆1,919億円となりました。

(3)基礎利益

基礎利益は、東日本大震災の影響を受けた前年度に比べ危険差損益が大幅に改善したことなどから、4,521億円となりました。

平成23年度主要実施施策の概要

1.平成23年度の重点取組事項

(1)3Q訪問活動の定着による契約者フォロー活動の強化

3Q訪問活動における加入内容説明と保障点検活動の徹底に取り組むとともに、3Q訪問活動の拡大に向けて、3Q訪問活動世帯数目標の設定とその進捗管理の徹底を図りました。この結果、3Q訪問活動世帯数は517万世帯(目標達成率109.2%)となりました。

(2)「ひと・いえ・くるま」の保障提案活動の強化

東日本大震災の発生により、建物・家財保障の必要性・重要性が再認識されていることを踏まえ、「建物・家財保障確保にかかる特別対策」を展開しました。また、平成23年4月に新設したこども共済「すてっぷ」を活用した推進活動および自動車共済新規契約獲得活動を展開しました。

(3)推進ポイントによる事業量目標設定・評価方式の定着とエリア戦略の展開

推進ポイント方式の導入・定着に向けて、導入・未導入別の実績分析等により導入効果について検証しました。同方式の導入により、生存保障分野(医療・年金)や自動車共済の取組みが強化されています。また、各種資材および推進ポイント方式導入優良事例等の提供・紹介を行いました。

さらに、JAの地域特性を活かしたエリア戦略の強化を図るため、3Q支援システムにエリア分析機能を新設し、分析データの取得を可能としました。

(4)LAを中心とする推進体制の強化

LAを中心とする推進体制を強化するため、LAトレーナーの導入・定着に向けて、優良事例の作成・提供やLAトレーナー向け研修の実施、各JAの導入に向けた支援などの取組みを強化しました。また、優績LA全国表彰基準への3Q訪問取組基準(加入内容説明世帯数)の導入および「LA任命時研修」の実施など、LAの育成・支援強化に取り組みました。この結果、LA一人当たりの推進総合実績は前年度に比べ109.6%と伸長しました。

(5)JA共済連の自己資本の造成

将来導入が見通される「時価評価にもとづく監督基準」への対応およびJAにおける共済事業の強化等の観点から、会員JAに対して普通出資金による総額6,000億円規模の増資要請を行い、平成23年度末時点においては、589JAから5,631億円の出資金を受け入れました。

(6)共栄火災との連携強化に向けた取組み

多様化するJA・組合員のニーズへの対応およびJA共済の補完として共栄火災商品の販売強化に取り組みました。

2.今次3か年計画達成に向けた取組施策

(1)ニーズを的確に捉えた簡潔でわかりやすい仕組みの開発・提供

ニーズを的確に捉えた簡潔でわかりやすい仕組みの開発・提供に向けて、平成24年4月、保障内容の拡充を目的としたがん共済および医療共済の仕組改訂を実施しました。また、地震に対する損害保障等を目的とした自動車共済の仕組改訂を実施しました。

(2)地域に根ざした地域貢献活動の展開

豊かで安心して暮らせる地域社会づくりに貢献するため、地域の交通事故対策活動「地域の安全・安心プロジェクト」を継続実施するとともに、東日本大震災により甚大な被害を受けた地域における交通安全インフラ等の再整備支援に取り組みました。

(3)安定的資金運用の取組み

資金運用については、長期安定収益基盤の維持・強化に向けた取組みを継続しつつ、収益性の向上に取り組みました。この結果、正味運用益は8,226億円(前年度7,912億円)を確保しました。

3.東日本大震災への対応

(1)損害調査・査定対応

迅速かつ万全な共済金の支払いをめざし、全国から2,475名の自然災害広域損害査定員等を派遣し、被災JAと一体となって損害調査・査定に取り組みました。また、被災県の建物更生共済の契約者および生命共済の支払対象になると推定される契約者に対する共済金請求勧奨を実施しました。この結果、東日本大震災における共済金支払額は8,951億円(60.6万件)に達しています。

(2)被災契約者に対する取組み

被災した契約者に対し、共済契約の継続に資する取組みとして、共済掛金の払込延長等を実施しました。

また、被災直後の初動対応として、建物更生共済の契約者に対して災害シートを 9万3,640枚提供しました。

(3)広報活動・避難契約者相談にかかる対応

広報活動・避難契約者相談対応として、新聞広告等を通じて、東日本大震災にかかる共済契約の取扱い等について広報活動を展開するとともに、被災JAおよび地元を離れて県外に避難している契約関係者等に対する相談窓口の設置等に取り組みました。

(4)災害救援・支援活動

災害救援・支援活動として、JAおよび組合員・利用者に対し、災害救援制度にもとづく支援活動等を実施するとともに、複数の大災害発生時にも必要な救援活動が実施できるよう、災害救援積立金の積立限度額を100億円から300億円に引き上げました。

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