JA共済連 平成24年度決算について

2013年7月25日

JA共済連(全国共済農業協同組合連合会・代表理事理事長 横井義則)では、平成25年7月25日(木)午前10時30分より、ANAインターコンチネンタルホテル東京(東京都港区)において通常総代会を開催し、平成24年度決算が承認されましたので、事業活動および決算の概要について、以下のとおりお知らせいたします。

平成24年度主要実施施策の概要

1.3か年計画(平成22年度~24年度)達成に向けた取組み

(1)地域特性に応じた推進活動の強化と生活全般における未保障・低保障分野の解消
生活全般における未保障・低保障分野の解消に向けて、3Q訪問活動における保障点検の定着と全戸訪問に取り組むとともに、世帯内のアップセル・クロスセルの取組みを強化しました。
また、事業基盤の維持・拡大に向けて、満期継続活動の徹底およびニューパートナー対策の徹底に取り組みました。
この結果、保障点検活動実施世帯数は451万世帯(対前年度比159.8%)となるとともに、3か年累計での3Q訪問活動実施世帯数は、全世帯の96.0%にあたる874万世帯となりました。
なお、ニューパートナー獲得実績は55.4万人(対前年度比104.9%)と伸長するとともに、推進総合実績(注1)は75億2,969万ポイント(同101.2%)となり目標(71億8,334万ポイント)を達成しました。
さらに、地域の保障充足状況等に応じたエリア戦略の展開に向けた取組みの強化を図るため、エリア分析データの整備等のインフラ整備に取り組みました。

(注1)推進総合実績は、保障内容の異なるすべての共済契約実績を、共通の基準で評価する「推進ポイント方式」(保障金額等×所定の換算率)により算出したものです。

(2)ニーズを的確に捉えた簡潔でわかりやすい仕組みの開発・提供
高齢化社会を背景とした介護保障ニーズに応えるため、平成25年4月実施に向けて介護共済および一時払介護共済の仕組開発に取り組みました。
また、万全な保障提供を図るため、平成25年10月実施に向けて、自動車共済について、弁護士費用保障特約の新設等の仕組改訂に取り組みました。

(3)組合員・利用者対応力の強化によるサービス等の向上
 組合員・利用者対応力の強化によるサービス等の向上のため、平成25年4月からのKinds’12(注2)の本格展開に向けて共済端末機および周辺機器を更新するとともに、引受審査・支払査定の業務フローの見直し、および「自動車推進サポートシステム」の導入を行いました。
また、「自動車共済損害調査サービスCS向上運動」等を展開した結果、自動車損害調査サービスに対する総合満足度は87.51%(前年度87.25%)となりました。

(注2)Kinds’12とは、JA共済事業におけるお客様サービスやJAの事務処理のために、全国のJAと連合会の電算センターをネットワークで結んだオンラインシステムの呼称です。

(4)組合員・利用者からの信頼性の向上
組合員・利用者からの信頼性の向上を図るため、遅延利息発生事案の発生原因分析等により、共済金支払履行期を意識した支払迅速化に取り組んだ結果、遅延利息発生件数は対前年度比80.9%となりました。

(5)地域に根ざした地域貢献活動の展開
豊かで安心して暮らせる地域社会づくりに貢献するため、交通事故特別対策「地域の安全・安心プロジェクト」や東日本大震災により甚大な被害を受けた地域における交通安全インフラ網の再整備の支援に引き続き取り組みました。

(6)JAにおける共済事業実施体制の強化
JAにおける共済事業実施体制の強化に向けて、3Q訪問活動の実践に資する研修を行うなどLAの推進力強化を図った結果、推進総合実績に占めるLA実績の割合は、73.6%(前年度72.3%)となりました。

(7)連合会のJA支援機能の強化
連合会のJA支援機能の強化を図るため、連合会職員のスキルアップ・専門性の向上をめざし、職員意識調査により把握した課題に基づき、人材育成方針・施策を取りまとめました。

(8)連合会の健全性確保と安定的資金運用の取組み
長期安定収益基盤の維持・強化に向けた取組みを継続しつつ、収益性の向上に取り組みました。この結果、正味財産運用益は8,626億円(前年度8,226億円)を確保しました。

(9)さらなる事業基盤の維持・拡大に向けた取組み
多様化するJA・組合員のニーズへの対応および損保への保障流出を防止するため、JA共済の補完としての共栄火災商品の販売強化に取り組みました。この結果、JAチャネルにおける販売実績は163億円(対前年度比104.1%)となりました。

(10)国際協同組合年にかかる取組み
JAグループや共済団体とともに、協同組合フェスティバル等を開催するなど、協同組合と共済事業の社会的価値と役割の認知度向上に取り組みました。

2.大規模自然災害への備え

(1)迅速な共済金支払いに向けた取組み
大規模自然災害時の損害調査体制の構築に向けて、JA職員の損害調査体制の整備を進めるとともに、連合会の広域査定体制を整備しました。

(2)危機管理体制・業務継続にかかる取組み
災害対策本部の機能強化を図るため、災害対策本部(県本部・全国本部)の決定事項を明確化するなど、「JA共済連災害対策本部設置規程」を見直しました。
また、大規模自然災害発生時においても業務が継続できる環境を構築するため、事業継続計画(BCP)を制定することとし、バックアップシステムの構築などによる電算システムの安定運用に向けた取組み等を進めました。

3.今次3か年計画(平成25年度~27年度)への取組み

平成25年3月の臨時総代会で承認された今次3か年計画では、平成24年5月の農協共済審議会答申で示された「より地域に密着したJAらしい事業活動の展開」と、「連合会のJA指導・サポート機能等の強化と経営の効率化」の2つの展開方向に沿って取り組むこととしております。
また、答申の具体化を図るため、「連合会の答申具体化基本計画」を取りまとめました。
この基本計画では、県域を越えた機能集約やシステムの再構築などの抜本的な連合会改革を行うこととしており、事業機能の強化と徹底した経営の効率化を早期に実現できるよう着実に取り組んでまいります。
また、連合会改革を実践するなかで、事業環境ならびに事業実施条件の大きな変容等があった場合においても、永続的に共済責任を全うできるよう、事業運営のあり方等について、先を見据えた対応を図ります。

事業成績

1.新契約高について

生命総合共済(生命・医療系・年金共済合計)は、一時払契約が伸展したことなどから、件数259万9千件(対前年度比116.8%)、保障共済金額12兆2,540億円(同122.0%)となり、前年度実績を大きく上回りました。
また、建物更生共済は、件数75万8千件(同79.8%)、保障共済金額11兆1,707億円(同74.3%)となりました。
その結果、生命総合共済と建物更生共済の合計は、保障共済金額23兆4,248億円(同93.4%)となりました。
自動車共済は、件数842万8千件(同99.8%)、共済掛金(連合会が収納した共済掛金)2,644億円(同107.4%)となりました。

2.保有契約高について

万一保障分野については、満期到来等による契約の期間満了などから、生命総合共済・建物更生共済合計の保有契約高(保障共済金額)は、前年度末から6兆4,014億円減少して297兆3,193億円(対前年度比97.9%)となりました。
一方、生存保障分野については、ニーズに対応した結果、医療系共済の入院共済金額(入院日額)は241億円(同124.3%)と伸展しました。
なお、解約・失効率は、生命共済3.40%(前年度3.47%)、建物更生共済3.32%(同5.19%)となりました。

3.共済金支払実績について

共済金の支払いについては、事故共済金が1兆196億円(対前年度比54.4%)、満期共済金が2兆3,870億円(同97.0%)となりました。
その結果、総額で3兆4,066億円(同78.6%)を支払い、組合員・利用者の生活保障の一助となりました。

財産及び損益の概要

1.平成24年度決算の特徴について

平成24年度決算の特徴は、以下のとおりです。
平成24年度は、生命総合共済の一時払契約の伸展を主な要因として、受入共済掛金が過去最高水準の6兆6,595億円となるとともに、総資産は50兆円を超えました。
一方で、将来の共済金の支払いなどに備えるための共済契約準備金も増加し、負債の部合計では47兆円を超えました。
また、経常利益は、受入共済掛金などの経常収益の増加と、支払共済金などの経常費用の減少により、前年度より1,105億円増加し、2,015億円(前年度比221.5%)となりました。
このような状況の中で、決算処理については以下のとおり行いました。

(1)リスク担保力の強化
建物更生共済の共済リスクに備える異常危険準備金は、平成22年度決算において東日本大震災の発生等に伴い取崩しを行いましたが、未だその復元が図れていないことから、将来の巨大災害時の共済金支払いに備え異常危険準備金残高の早期復元を図るため、1,223億円の積立てを行いました。
また、価格変動準備金は、農協法令の改正により前年度決算から積立限度額が引上げられ、価格変動リスクへの対応の必要性が増していることから、リスク担保力を強化するため、515億円の積立てを行いました。

(2)契約者割戻し
生命総合共済と建物更生共済の割戻率は前年度と同率を基本としましたが、建物更生共済(まもり)については、東日本大震災の影響を大きく受けた前年度に比べて危険差割戻率を引き上げました。
この結果、契約者割戻準備金繰入額は、前年度より102億円増加し、727億円となりました。

(3)剰余金処分における会員配当金
出資配当金の出資配当率は、前年度と同率の年1.75%としました。
また、出資配当金(128億円)と事業分量配当金(40億円)を合わせた会員配当金の総額は、前年度より40億円増加の168億円としました。

2.主な経営指標について

(1)支払余力(ソルベンシー・マージン)比率
諸準備金の積立てやその他有価証券評価差額金の増加などにより支払余力の総額が増加したことから、支払余力比率は前年度より75.4ポイント増加し、708.8%となりました。

(2)実質純資産額
実質純資産額は、責任準備金対応債券等の有価証券の評価差額の増加などから、前年度より2兆7,081億円増加し、11兆9,001億円となりました。

(3)基礎利益
基礎利益は、利差損益が改善したことから前年度より462億円増加し、4,983億円となりました。

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